このブログを検索

2012年3月16日金曜日

会話

会話をかわしてみて思慮深くて感じがよいと思われる人が、これほど寥々たる有様になっているのは、ひとつには、言われたことにきちんと返事することより自分の言いたいことばかりを考える人でない人が、ほとんどいないためである。最も頭がよく、最も愛想のよい連中でも、熱心に聞いている顔をして見せるだけで事足れりとするのだが、その時彼らの目つきや頭の中にある、こちらの言うことに対する上の空の気持ちと、自分の言いたいことに話を戻したがっている焦燥が、ありあり見てとれるのである。そんなふうに自分を喜ばせることばかり求めるのは、他人を喜ばせ、もしくは説得するためには拙策であり、よく聞きよく答えることこそ人が会話の中に見出し得る最大の妙味の一つであることを、彼らは考えようとしないのである。

ラ・ロシュフコー箴言集

http://www5.plala.or.jp/navy/index3.html

0 件のコメント:

コメントを投稿