生物から見た世界 ヤーコプ・フォン・ユクスキュル、ゲオルク・クリサート
(日高敏隆、野田保之) 思索社 1973年 2400円
p28
やっと最近になって、すべての生物に妥当する空間をもつ宇宙の存在についての疑惑が物理学者の間に芽生えてきた。
p205
過剰な子孫を抹殺することが、それから、生物の進化を進めるための「適者生存だと判断することは、ハーバート・スペンサー(Herbert Spencer)の根本的な誤りであった。適者生存ということではなくて、その種が不変に生存し続ける利益という点での、正常なものの生存、これが重要なことなのである。
memo 「不変に生存し続ける利益」の「不変」という部分には疑問を感じるが、適者なるものを存在するものにとっての利益として相対化することで関係の作りだす網目の姿がみえてくる
p214
どんな場合でも、その形成に動機として表されるのは、対立符点である。このことはすでに、人間の日用品の構成からよく知られているはずである。耳のついたコーヒー茶わんは、ただちに、コーヒーに対する対位法的関係を示し、他面では人間の手に対する関係を示している。このような対立符点は、茶わんを生産するさいに、まず、動機に影響を与える。いやそれどころか、対立符点は、茶わんが作られている材料よりももっと大切なのである。
関連 材料よりも重要 → 構造主義、線形代数
この仕事が同時に生産の動機であったということを言い表している。
コーヒー茶わんは、コーヒーにふさわしいという命題を立てれば、誰でも当たり前のことと思うだろう。しかし、この命題は、見かけ以上のことをいっている。それは、茶わんの仕事はコーヒーを受け入れるということにあるが、それ以上にこの仕事が同時にその生産の動機であったということを表している。
memo
目的 結果が原因になる
生物から見た世界
用語集
反射個体 p58
反射共和国 p59
知覚標識 p147
作用標識 p147
意味の担い手 p142
意味の利用者 p145
補体 p145
トーン p141
対立符点
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