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2012年2月23日木曜日

鏡の中の世界





あなたの顔をじっくりと見てください。顔は自分で直接見ることが出来ません。

私達は鏡などに映っている顔を自分の顔だと思っているのです。
鏡にあなたの姿を映してみてください。鏡の中には右と左の入れ替わったあなたがいます。
このもう一人のあなたを仮に坂入君としましょう。あなたが右手をあげると坂入君は左手をあげます。
あなたが左目でウインクをすれば坂入君は右目でウインクを返します。
またこの紙を鏡に映してみると




というふうに左右の入れ替わった文字に変わってしまいます。

しかしなぜ坂入君は左右反対にあなたのまねをするのでしょうか。
 文字はなぜ左右反対に映るのでしょうか。 別に上下逆さまに映ってもいいような気がしませんか?
鏡の前で右手をあげてみてください。鏡には左手をあげたあなたが映っています。
しかしあなたの右手と坂入君の左手との位置関係だけに注目すると、足が下側に映っているのと同じように右手は右側に映っているだけです。
別に鏡は縦と横を区別して映している訳ではなさそうです。
それなのに他の人が見ている自分の顔と普段見ている自分の顔は左右が違っているのです。特別 左右が違っていても困ることはありませんが何となくすっきりしません。
このわけは解ってしまうと実に簡単なことなのですが、考えれば考えるほど頭がこんがらがってしまいます。こういう問題は実際にいろいろと試してみるのが一番です。
 まず、そのために助手を誰かに頼んでください。そして二人で向き合って、助手の人にあなたのまねをちょうど鏡に映っているようにやってもらいます。ここでシェーのポーズをしてみてください。



そしてそのポーズのまま二人で同じ方向を向いて横に並んでみてください。

助手の人はあなたと左右反対のシェーをしているはずです。
こんどは逆に横に並んで、二人で同じようにシェーをしてから向き合ってみてください。
当然、二人とも同じ手を挙げていると思います。
このように人間には前と後ろがあるので向き合うと左右がいれかわるのです。
今まで鏡が左右を入れ替えているように感じていましたが、実際は「鏡の中の世界」を無意識に普段私達が見ている世界に置き換えて見ていたからなのです。
文字の左右が入れ替わるのも同じように説明できます。
しかし文字は自分で動かないので原因は人間にあります。今見ているこの紙を鏡に映してみてください。
このときの動作を振り返るとあなたは鏡に文字をうつす時に紙の左右を入れ替えたのがわかるとおもいます。また左右を入れ替えずに文字を鏡に映すことも出来ます。
上下をひっくり返して鏡に向けるようにすれば左右は入れ替わりません。
普段当たり前だと思っていることでも、なぜなのかわからないと言うことはたくさんあります。空はなぜ丸く見えるのか?遠くの物はなぜ小さく見えるのか?このような疑問をいろいろ考えるといい暇つぶしになります。また星を見ながら、ぼんやりとこういうことを考えるのもなかなかいいものです。
最後に僕がどうしてもわからない問題を一つ、大きな球状の鏡の中へ懐中電灯を持ってはいると自分の姿はどのように見えるでしょうか?わかった人はおしえてください。


これは私が入っている天文同好会の会報に書いた文です。朝永振一郎博士の随筆から題名とアイデアを拝借して書きました。一応終わっていますが、その後「鏡の中のミステリー」(-左右逆転のなぞに挑む- 高野陽太郎著岩波科学ライブラリー55)という本を見つけ、少し考えが足りなかったと反省し、書きなおそうと思ってそのままになっています。




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